第二十一回 「冬の蝶」
室生犀星
5月12日月曜日〜5月16日金曜日(土日を除く)
犀星が寺領を借りて庭を造った天徳院
昭和2年(犀星38歳の時)に発表した小説「冬の蝶」は、随想的な作品で犀星が、金沢に土地を借りて庭を作ることが描かれています。
犀星にとっての庭造りは、文学探究と同じ意味を持ち、生き方そのものでもありました。
東京に住みながら、金沢の庭造りを指示し、金沢の庭に思いを馳せる犀星。
故郷への深い思いが伝わってきます。
解説 : 笠森 勇(かさもり いさむ)
駒澤大学卒業。金沢学院短期大学教授。
室生犀星の研究をしながら、その交友関係を探るなかで、萩原朔太郎との不思議な友情を『詩の華―室生犀星と萩原朔太郎』(平成2年)にまとめた。
その後、中野重治の犀星に対する敬愛を考察して『蟹シャボテンの花―中野重治と室生犀星』(平成18年)を刊行。他に著書は『犀星のいる風景』(平成9年)、『表棹影作品集』(平成15年)など。
現在、犀星周辺の詩人や作家について研究中。
金沢三文豪の世界 第二十一回 室生犀星 「冬の蝶」
朗読担当:安田 真理
主人公が「庭」を思う気持ちが切ないほどに伝わってきます。
室生犀星の朗読は初めてでしたが、文体、内容ともにとっつきやすく、楽しみながら朗読をすることができました。
主人公は、新居を構えるにあたって、家の建物よりも「庭」を先に作っていきます。家より庭の方が大切だというのです。それほどまでに「庭」にこだわった作者の庭を作り上げていく様から、人が本来求めるべき姿にも迫っています。
タイトルは「冬の蝶」。主人公の思いが、一匹の蝶の姿となってふるさとの庭を舞います。
じっくりと読み味わえる、心いやされる作品でした。
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