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こだわり強く動けない人も…知的障害者の生活施設が直面する二次避難の難しさ 職員「支える人がいないと」
能登半島地震から2週間が経ちました。「長年住んだ町から離れたくない」など”二次避難”には様々な事情がありますが、「現実的にできない」ところもあります。
石川県穴水町(あなみずまち)から山道を進み、見えてくるのが知的障害者などが生活する「精育園(せいいくえん)」です。
入口を入ると沢山の物資が届いていて、今も110人の障害がある人々が生活しています。幸い入居者に大きなケガはありませんでしたが、日常は奪われてしまっています。
精育園の田中こず恵さんに、施設の中を見せてもらいました。
精育園の田中こず恵部長:
「自閉症の方が落ち着いて過ごせるような空間として使っていたんですけど、防音で外からの音が聞こえにくい部屋の構造にしてあって、それもこんな状態なので今は全く使えない」「絵が好きな方は絵をかかれたりとか、本人がお手伝いできることをしてもらうことで、自分自身の自己肯定感を高めたり。今は全くそういう活動ができない状態」
それぞれの事情に合わせて行っていた活動は出来ません。さらに居住スペースの被害がひどいため、入居者は集団での生活を余儀なくされています。
Q.行動に変化は?
精育園の田中こず恵部長:
「ストレスで(手を)むしってしまったり、血を流しちゃっている。次の外泊はできるのかどうかがわからない、確定していないから不安で不安で仕方がない」
それでも「こだわり」が強い2人の入居者は、元々いた部屋の近くで寝泊まりを続けています。
精育園の田中こず恵部長:
「お一人は体育館への避難を(拒否して)どうしても動けないので、最初からあそこにずっといらっしゃいます」
職員およそ30人が入居者の生活を支えていますが人手は足りず、先は見えません。
精育園の田中こず恵部長:
「人の面ではやっぱり不足しているかなと思いますし、職員も被災している。でも皆さん、自分たちがいないと利用者の方の生活がままならないというか、身の回りのことが自分でできなかったりするので、自分たちが出てきてお手伝いしなきゃという気持ちで、今は一生懸命頑張ってくださっているかなと思う」
Q.二次避難は?
精育園の田中こず恵部長:
「二次避難先を考えるにあたって、避難所ができましたからどうぞと言われても、そこにはしっかりと支える人がいないといけなくて、ちゃんとした支援体制を整えることや、あとは本人やご家族が本当にここに避難できますとなったときに、そこに行きたいと思うかどうかもとても重要かなと思います」
命と健康を守るために呼びかけられる二次避難。しかし、動きたくても「動けない事情」も被災地にはあります。