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輪島で被災した酒蔵を小松の老舗が支援…救出した酒米で再起かけた酒造り 初しぼり迎え「希望のお返しを」
能登半島地震で被災した輪島市の酒蔵が、小松市の酒蔵の設備を借りて酒造りを再開し、26日新酒の初しぼりが行われました。
小松市の老舗酒蔵・東酒造(ひがししゅぞう)。
タンクに入ったもろみにかい入れをしているのは、輪島市・中島酒造店(なかじましゅぞうてん)の8代目中島遼太郎さ(なかじまりょうたろう)さんです。
中島さん:
「2月中旬に出てくるはずだったお酒の仕込みだったので…すごく感慨深いです。」
明治元年に創業し、地元では「能登末廣(のとすえひろ)」のブランドで知られている中島酒造店。
しかし、今回の地震で蔵などが倒壊する被害を受け、酒の醸造ができなくなりました。
中島さん「今回のこれ(地震)は本当に「どうしよう」ですね」
今年の酒造りを諦めようと考えていた時、奇跡的に救出できたのが…
今年の酒造り用の酒米です。
中島さん:
「建物の下敷きになってたんですが、屋根の下にきれいに被さっている状態で…何を見つけるよりも一番うれしいというか…
酒米を救出できたことで、中島さんは再起を決意します。
小松市にある東酒造の支援を受け、設備を借りながら酒作りを再開することにしました。
中島さん:
「お米を触るのも一カ月少しぶりだったので、気持ちの中では一旦リセットして再開できるなという気持ちになっています。能登末廣のニュアンスを持ったような味わいが少しでも出せればいいのかなと思っています」
東酒造の蔵に住み込みながら、救出された酒米を使って 酒造りを行うこと1カ月あまり。
27日、いよいよ初絞りの日を迎えました。
丹精して作った「もろみ」が搾り器にかけられます。
一度は諦めていた今年の新酒です。
その味は…?
試飲する中島さん:
「すっきりとした辛口で、うちの能登末廣のしぼりたての感じもちょっと出てて、 すごく嬉しいです。」
東酒造 東社長インタ:
「みんなが少しづつ、出来るところから応援していって、最終的に中島君が、輪島が復活した時に笑って酒造りができるような状況を私たちが提供していくのが 酒造業界の務めだと思います」
中島さん:
「お米を出して頂いたのと一緒で、何かきっかけがあると頑張ろうという気持ちになれると思うので、(初しぼりのお酒を通して)僕がもらえた希望をお返しできればなと…」
できあがった新酒は来月3日から、県内の酒店などで販売されるということです。