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地域の影の部分に「光を当てる」ダークツーリズムの普及に努める教授の思い

地域の発展や文化の向上に貢献した人に贈られる石川テレビ賞。

17日は、地域の影の部分を観光を通して知る「ダークツーリズム」の普及に努めている金沢大学の井出明(いで・あきら)教授です。

井出明教授:
「(ダークツーリズムは)その地域に隠されていた悲劇や悲しみというのがまじかで見ることができて、地域というのは色んな側面を持っているんだなというのを歩きながら納得して考えることができるのでそこで新しいものの考え方、見方を手に入れることができる」

金沢大学で観光学を教える井出明(いで・あきら)教授(55)。

2011年、被災地の復旧のため観光の側面から貢献する研究がしたいと考えていたとき、「ダークツーリズム」と出合いました。

「ダークツーリズム」は戦争や災害といった地域の悲しみの記憶を分析し、今後の教訓にすることを目的にした観光のこと。

ヨーロッパでは一般的ですが、日本ではまだ馴染みがありません。

井出さんは、観光を通して地域の人が抱える悲しみや憤りを後世に語り継ぐ重要性を指摘してきました。

井出教授:
「将来誰でも被災者になる可能性があってその時にどのように被災社会を考えれば良いのかという時に、明るく元気な復興だけでは被災地を語れない復興を語れないということを外部の人に分かってもらう必要があって、その思いを共有する仕組みとしてダークツーリズムというのは非常に重要なんですね」

しかし、地域の「影」の部分にスポットを当てた観光は住民から反発があったといいます。

井出明教授:
「被災地をダークと呼ぶとは何事だというのでかなり怒られて13年間試行錯誤でやってきたという感じですね」

今回の能登半島地震でも「ダークツーリズム」は欠かせないと井出さんは考えています。

井出明教授:
「ある意味地元の人たちにとって耳の痛い話を私がしているが、それを価値のあるものとして認識してもらって賞を授けて貰ったというのは本当にありがたく思っています」

能登半島地震は 地域に大きな爪あとを残しています。

井出さんは今後、この被害の状況を「災害遺構」としてどう残していくかや被災者が抱える悲しみや地域のトラブルといった外から分かりづらい部分をどのように伝えていくか、見せ方を工夫したいと話します。

井出明教授:
「被災者や被災地の人から疎まれたり怒られたりすることはあるでしょうが、それはやむを得ないことでそれも大切な研究の一環、仕事だと思ってやろうと思います」

能登半島地震の教訓を次の世代に語り継ぐためにも「ダークツーリズム」は欠かせない要素となりそうです。

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