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被災者が今、一番困っていることとは?仮設住宅で暮らす住民にアンケート調査

北陸中日新聞では、地震から半年に合わせて、輪島市、珠洲市の仮設住宅に暮らす約100人にアンケートを行いました。被災者が、いま一番困っていることは何なのか、を探ります。

「今一番困っていること」について、被災者の生活再建に必要とされる7要素(住まい▽人と人とのつながり▽まち▽心と体▽備え▽暮らし向き▽行政との関わり)に分類しました。

自宅の再建や仮設住宅の狭さなど「住まい」に困難を抱えている人が54人(51・4%)と最多でした。

仕事や被災者向けの支援金など「暮らし向き」についてが15人(14・3%)、
地域の過疎化や道路・水道の復旧など「まち」に関する困りごとが13人(12・4%)、体調や高齢化など「心と体」が9人(8・6%)でした。「先の見通しが立たない」という回答もありました。

稲垣アナ:
「住まい」に関する悩みが最も多いということですが「どこに住むのか?」ということも重要ですよね

奥田さん:
その生活再建を進めたい場所は、76・2%が「市内」と回答。「分からない、決められない」が20%、「能登半島以外」が3・8%でした。

「恒久的な住まいをどう確保したいか」の設問には79人が回答。「自宅の再建・修復」を目指す人が39人とほぼ半数(49・4%)に上り、「災害公営住宅(復興住宅)」が16人(20・3%)、「分からない、決められない」も14人(17・7%)でした。

庭付きの大きな一戸建て住宅に住んでいた人が多い能登半島では、窮屈な仮設住宅で被災者がストレスを感じやすく、家庭内の関係が悪くなったり、健康問題に影響する可能性があると言えます。

続いては「年代別」の結果です。

文章中の単語を抽出し、登場回数に応じて文字の大きさが変わる「ワードクラウド」という手法でアンケートの回答結果を可視化しました。

64歳以下の現役世代では、仮設住宅の「狭さ」や自宅「再建」のための「ローン」のほか、現役世代だけに「仕事」関連の回答が目立ちました。

具体的な回答を見ましょう。

珠洲市の50代会社員は「自宅再建のためのローンを組めるか分からない。まとまったお金が必要」と言います。
輪島市の30代女性は「2~11歳の5人の子どもがいる。教育環境が心配」

65~79歳では「お金」や「支援」、「生活」「暮らす」といった単語が多いです。家族や仕事を失って生活が難しいといった切実な声が聞かれました。

輪島市の60代会社員は「わずかな年金で暮らしている。建設資材の卸売会社に勤めていたが、再開の見通しが立っていない」
珠洲市の60代女性は「地震前は一軒家で生活していたので、物音など隣に気を使うのが疲れる」

80歳以上では「どうなるか分からない」などと率直な声が寄せられました。
仮設住宅を「出た」後や「高齢」であることの「大変」さの声が多く、交通機関がなくて買い物できないなどの声がありました。

珠洲市の80代女性は「仮設住宅の1人用の狭い部屋に住んでいるが、孤独死が心配。周りには店がなく、買い物が大変。移動販売車が回ってくる順番が最後で品物が残っていない」と話していました。

「地域の復興に関する希望」についても聞きました。教育や福祉、観光・産業などの分野の単語が見られた。「若い」人たちが「出て」いって「人口」が「流出」しないよう、「コミュニティー」や「祭り」「働く場所」など居場所や生きがいの確保を求める声が目立ちました。

珠洲市の40代自営業の男性は「高齢者が多く、今後地域にどれだけ新しい家が建つのか疑問。建っても点々と家があるくらいなら、いっそのこと家を集めて造った方がコミュニティーの維持にはつながってくると思う」
輪島市の60代男性は「若者がたくさんいればいいが、働く場所が必要。企業誘致をしてほしい」と話しています。

専門家はアンケート結果をこう分析しています。

柄谷友香(からたに・ゆか)名城大教授は、仮設住宅内での困りごとに関して、
「仮設に住む被災者を雇用して、見守り支援員を置くなど、長期にわたる仮設暮らしでのストレスの把握に努めることが重要になる」と言います。

また、被災者一人一人の困り事を把握し、行政や保健師、民生委員、弁護士、NPOなどが情報を共有して適切な支援につなげていく「災害ケースマネジメント」の手法が必要になってくると指摘しています。

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