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進まぬ復興知り輪島へ…人手不足の施設に就職した介護職の男性に“住む場所なし”「人が来られる仕組みを」
能登半島地震で加速した介護人材の不足。厚生労働省が2024年3月に行った調査によると、能登6市町の介護職は地震前からおよそ3割減少しています。ぎりぎりの状態が続く中、介護サービスを維持するため今求められているもののひとつが「住まい」です。
輪島市山本町にある「グループホームひなたぼっこ」。82歳から102歳までの18人が入所しています。元日の能登半島地震で、ライフラインが止まり、このグループホームでは、かほく市に集団避難しました。
被災したのは職員も同じ…。自宅が全壊した職員も多くいました。それでもかほく市にいる間は金沢などの二次避難先からかほく市の集団避難先に通っていました。
2024年4月、ようやく断水が解消し、グループホームのメンバーは元いた施設に戻ることができました。しかし、自宅が全壊した職員などは輪島に戻っても住むところがないため4割近くの人が退職してしまったのです。懸念していたことが現実になってしまいました。
施設長:
8人やめてるから少なくともあと4人は必要かな、通常に回していくためには
今は全国から駆けつけたボランティアの力を借りながらサービスを維持しています。
ボランティア:
やっぱり職員は足りていないと思います。日勤帯で1人いればまた違うと思う。ほんの少しでも役に立てればいいかなと
こうした中、2024年5月、この施設に就職した男性がいます。池田真一さん、41歳。池田さんは介護福祉士として食事や入浴の介助などを行っています。
池田さん:
ボランティアに頼りきりなので(職員が)足りないというのはここにいても痛感しますし、ここで働いている人も被災者なのでその人たちの手助けのために働いています
池田さんはなかなか復興が進まない能登の現状を知り、東京からやってきました。池田さんにとって輪島は縁もゆかりもない土地、住む場所もありません。そこで施設側は、駐車場にインスタントハウスを設置。今は、ボランティアのスタッフとともに生活しています。
池田さん:
いろんなところに応募したんですけど住まい大丈夫ですかと聞かれて、大体落とされちゃったんですよね
実は池田さん、求人が出ていた他の施設にも声をかけましたが、住む場所がないため、就職がかないませんでした。人手が足りないのに人材を受け入れられないという現実に危機感を抱いた池田さんは6月上旬、介護職員のための仮住まいを作るよう署名活動を始めました。
池田さん:
介護職は都心も田舎もほとんど給料が変わらないのでいい自然の中で働きたい人はいると思うので、仮設住宅があれば人材も入ってきやすいかな
これまでに集まった署名は、およそ1万1000筆。
施設長:
本当に綱渡りですよ。とにかく住むところがなかったらこっちに帰ってきたい職員もリターンできないし外からも入ってこれないし。まずはそういう状態だという共通認識をみんなが持つこと、それと人が来れる仕組みを作ってほしい
集まった署名は近く輪島市や珠洲市の市長に提出するということです。