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地震と豪雨で“日常”が遠く…浸水で再び住む場所追われた仮設住宅の入居者たち「一番大事なのは人間関係」

今回の豪雨災害では仮設住宅222戸が床上まで水に浸かりました。家財道具を揃え日常を取り戻そうとしているさなかの豪雨。住民たちは発生から1ヵ月が経った今も先が見えない暮らしを続けています。

吉村セツ子さん:
「一瞬、「あっ」て言っている間に堤防を越えて(水が)こっちに来たから、怖いと思う暇がなかったもんね、一瞬やから」

輪島市門前町の浦上地区に住む吉村セツ子さん。先月の豪雨で仮設住宅は床上浸水しました。

吉村さん:
「ここまでギリギリ入った。敷いてあったカーペットはダメになったし下は泥がいっぱいたまったし…」「ここ(仮設住宅)に住んで落ち着いたなと思っていたらね」

地震の前にはおよそ430人が暮らしていた浦上地区。元日の地震で門前町は最大震度7を記録し、地区の住民は避難所での生活を余儀なくされました。吉村さんも住んでいた家が全壊し、2ヵ月以上避難所に身を寄せた後、仮設住宅に入居。ようやく落ち着いた生活を始めた中での豪雨災害でした。

吉村さん:
「(見た感じは)大丈夫なんだけども、下にたまっている泥が臭ったり、虫が出たりするから今、床をめくって消毒するっていう話なんだけど…」

ボランティアの助けを借りて住める状態まで掃除したものの、それで解決とはなりませんでした。仮設住宅の復旧工事を行うことになり住民は一時、部屋を出なければならなくなったのです。

吉村さん:
「荷物を置くところもないし避難する場所も決まっていないし。夜眠れんし、心配で」

今月16日。浦上公民館では仮設住宅に住む人たちへの説明会が開かれました。参加した住民はおよそ50人。説明会では市の職員から住民に床板をはがして泥を出すため2週間ほど、近くの小学校に避難してもらうことなどが伝えられました。

住民は:
「これだけしか(床下に)泥がないけど(避難しなきゃ)ダメなんだと。床の中にシートが張ってあってそれを変えなきゃダメ。(部屋の)片方ずつで工事してくれりゃいいけどそんなわけにはいかないっていうしみんな荷物を出さないと行けないでしょ。大変やわ…」

住民の中にあったのは、再び住む場所を追われることへの複雑な感情。吉村さんの息子、昌巳さんも…。

吉村昌巳さん:
「(納得は)していない。今でも住むのに支障ない。菌が出てからじゃ遅いんだろうけど今のところ体調を崩した人もいないから…」

「12日に出るから避難は12から28日」「夜、弁当」「朝はパン、昼は炊き出し」

部屋を出るときには家具や家電を全て運び出さなければなりません。

吉村セツ子さん:
「説明聞いて安心したしこれですっきり。すっきりしたって言ったら変だけど決まって良かった。もやもやってした気持ちでいるのが一番疲れるからね」

吉村さんが望んでいるのは住み慣れたこの場所で安心して暮らすこと。

吉村さん:
「1番大事なのは人間関係。(ほかの場所に移ったら)それに疲れると思う。だからここにいればみんな知った人ばっかりだからそれだけ気楽。たまに畑も覗いたりできるし…」

翌日、仮設住宅では復旧工事が始まりました。工事が終わるのは12月中旬。それまで住民たちの生活が落ち着くことはありません。

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