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帰宅命令出て家路で濁流に襲われる…行方不明の女性の帰り待つ家族「とにかく手がかり一つ出てきてほしい」

記録的な大雨による濁流に襲われ、いまも行方が分かっていない輪島市の女性がいます。女性の帰りを待つ家族が、今の思いを石川テレビのカメラに話してくれました。

父・勇人さん:
「玄関から、ただいまって言ってきそうな気がしてならんげんけども…。ここまでくるとね。とにかく手がかり一つ出てきてほしいです」

豪雨災害から1カ月。いまも行方が分かっていない輪島市の中山美紀さん、当時31歳。先月21日、仮設住宅から穴水町の職場に出勤。しかし、帰宅命令が出たため、仮設住宅に戻ろうとしたとき、濁流に襲われました。その後、川沿いの県道で美紀さんの車だけが見つかりました。父の勇人さんはあの日のことを思い返しています。

父・勇人さん:
「とにかく家族のもとに帰ろうとしたんでしょうね。家族思いの子やったし」

仮設住宅で4歳下の弟と両親、祖父母の6人で暮らしていた美紀さん。部屋はあの日から何も変わっていません。

弟・真さん:
「本当に何も変わってない。ずっとこのままなんです」

父・勇人さん:
「いつ帰ってきてもいいようにこのまま、片付けないでおいてあります」

1月の地震で全壊した家からなんとか持ち出した美紀さんの服やゲーム機などわずかな荷物が置いてありました。

父・勇人さん:
「うちの家族の中心的な存在やったからね」
弟・真さん:
「いつもの明るさがなくなって、暗くなってしまいましたね」

家族は美紀さんの帰りを待ちわびています。

父・勇人さん:
「本当にどこにいるのかな、早く出てきてほしいですね」

弟の真さんは、姉の美紀さんの車が見つかった場所を1人で探し続けています。

弟・真さん:
「どこかで出てきてくれたらいいのになあってそれだけしか考えてません、それだけです」

毎日、警察や消防が懸命な捜索を行ってきました。この場所も探しつくされたといいます。

弟・真さん:
「やっぱり見えないところが気になって仕方がないんですよ。見えないところにいるんじゃないかなって、でもここは全部見ていただいたんですよ」

車のドライブレコーダーには濁流に流される美紀さんの映像が残されていたと警察から伝えられました。しかし、家族はいまもその映像を確認する気持ちにはなれないと言います。

弟・真さん:
「可能性はないかもしれないけど、山に登っていないかなとか可能性がゼロのことを考えている。ドライブレコーダーの記録がある以上、山には上っていないでも見ちゃう。考えなくてもいいことを考えちゃう」

今月17日は美紀さんの32歳の誕生日、いつものように家族でお祝いするはずでした。

弟・真さん:
「時はちゃんと経っているのに、体の中の時計は進んでいないというか言葉めっちゃおかしいけどそんな風な感覚なんですよ」

あの笑顔に再び会える日まで。家族の捜索は続きます。

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