石川テレビ

石川テレビ 8ch

石川県内ニュース

当時海女は「海が死んだ」と話す…奥能登豪雨でも海底に“環境変化” 珠洲市沖で泥など大量の堆積物を確認

2024年9月の奥能登豪雨が大きな影響を与えています。金沢大学は24日、その能登の海の調査結果を発表しました。

調査を行っているのは金沢大学の佐川拓也准教授、ロバート・ジェンキンズ准教授を中心とした研究チームです。1月13日から15日にかけて、珠洲市の沖合およそ300mから3kmにわたる範囲の、水深およそ5mから50mの11地点で海底の堆積物を採取しました。パイプを割り、中を見てみると…

研究チームのメンバー:
すごいね、泥が…しかも赤茶けて…

ジェンキンズ准教授:
ここからドサッとたまっている泥の部分が、昨年9月に起きた 奥能登豪雨によって 陸域からもたらされた大量の泥が上に積もっているという状況が見て取れます

深い所には砂や貝殻などが見られますが、そこから上は泥で覆われています。その厚さは最大およそ17センチ。

佐川准教授:
地震の直後に砂の上に1cm程度の泥があって、それでも驚いていたんですよね。それがいまもう10cm以上積もっているというのが、地震とはまた別な意味で、すごく大きい影響がある豪雨だったんだなと…ちょっと驚いています

豪雨で堆積した泥はどんな影響を与えるのでしょうか。

佐川准教授:
珠洲市の飯田湾の辺りにはアマモが生息していたりするんですね。浅いところだと 光合成ができるんですけれども、砂地でアマモが生息しているところに大量に泥が堆積してしまうと、アマモ自体も埋めてしまったりしてしまいます。そうするとアマモ場が無くなって生態系に少し影響があるんじゃないかと考えています

アマモは魚やエビなどの生息場所として重要で「海のゆりかご」と呼ばれています。研究チームは能登半島地震直後に同様の調査をしたところ、海底にたまっていたおよそ1センチの泥は1カ月で薄くなっていました。では今回の泥はどのくらいでなくなるのでしょうか?

佐川准教授:
豪雨から半年経ってもこれだけ厚いものが溜まっているのであまり簡単にこの泥は無くなら ないんじゃないかなと今は思っています。僕らが考えているよりも 少し長くこの状態が続くのではないかと思っています

研究チームは、奥能登豪雨によって発生した土砂崩れなどが飯田湾北部地域を中心に厚く堆積したと考えています。ロバート・ジェンキンズ教授は「同じ状況が能登の外浦一帯でも広がっている可能性がある」と指摘します。この泥で「アマモ」の生育に影響があれば豊かな能登の海が危機に陥ります。まさに海女さんがいう「海が死んだ」となってしまうのです。金沢大学は今後も海底環境のモニタリングを続け、改善につなげたい考えです。

最近のニュース