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死因の約4割は“圧死”…甚大被害の町でなぜ倒壊免れた建物があったのか 専門家が指摘する3つの留意点
石川県によりますと、能登半島地震では1月31日までに238人の方が亡くなっています。災害関連死などを除いて、警察が調べた222人の死因を分析した結果、最も多かったのが圧死で92人で全体の約4割を占め、死因の多くが住宅が倒壊したことが原因ともいえます。
専門家チームの調査に密着し、住宅が倒壊した理由や今後、被害を防ぐためのポイントを取材しました。
1月31日、輪島市を訪れたのは「地盤災害ドクター」として働くBe-Doの会長、横山芳春(よしはる)さんです。住宅の災害リスクなどを地盤や地質などに注目し、評価を行っています。
最初に注目したのは、倒壊した7階建てビルです。
Be-Doの横山芳春さん:
「建物が倒れた側の所で大きく地盤がくぼんでいるというか、地中に埋まっている状況になりますので、倒れた時の衝撃というよりは、何らか地盤の方が緩くなっている。そういう影響もあったのではないかなと考えられます。その原因として近くとか、隣のビルあたりで液状化の噴砂のようなものが確認されているので、その下が緩くなったのは液状化のようなものも考えられるのではないかと。地盤はあんまり言われていないと思う。液状化があるっぽい話は。その辺を見たかった」
横山さんは今回、住宅の耐震性を調査するため、現地を訪れました。横山さんを含めた構造塾は、建築家や耐震実測のスペシャリストなどといったチーム編成で多角的な評価を可能にしています。
Be-Doの社長 戸成大地(となり・だいち)さん :
「常時微動探査という、人間が感じない揺れというのをずっと計っていて、これを20分弱ぐらい放置することによって詳細な微動で(地盤や家屋の)固さ・軟らかさというのを判断していく」
今回の能登半島地震では、約4万5000棟の住宅に被害がありました。2023年に最大震度6強の地震を観測した珠洲市は、今回の地震で住宅約6000棟のうち、半数近くが全壊したと発表しています。
Be-Doの横山さん:
「能登半島のほうでは、建物の倒壊で亡くなった方が多いことが数字でも出ていますが、能登半島では建物の倒壊で亡くなった方が多いのは数字でも出ていますが、倒壊している家もかなり古い家、古い耐震基準の家ほど倒壊が多いという印象は受けましたね」
被害が大きくなった理由については、キラーパルスの影響を指摘しています。地震が起こると発生する揺れには、短い周期のものや長い周期のものなどいくつかの種類があります。キラーパルスはちょうど中間にあたる1~2秒間隔の周期で、住宅に甚大な被害をもたらすとされています。
横山さんは、住まいの安全性には「立地」「建物の強度」「地盤のリスク」の3点について留意してほしいといいます。
Be-Doの横山さん:
「住まいの安全性はまず『立地』。立地は後から変えられないのでまず立地。次に建物の強さ、地震の耐震性というようなものです。その次にその場所のリスクですね、例えば液状化が起こる場所とか」
今回の地震で、現場を取材していて気づいたことがあります。町全体が甚大な被害を受けていても、倒壊を免れた建物があることです。
2007年の能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島市門前町(もんぜんまち)は、今回の地震でも震度7を観測しましたが、新しく建て替えられた住宅は倒壊を免れていました。
Be-Doの横山さん:
「耐震性が高いとみられる新しい住宅ほど、被害が少ないとみられますので。低いのはある年代から前の住宅ですよね。特に旧耐震、1981年5月以前の建物とかは、耐震診断・耐震補強等を行っていただきたいなと思います」
仮に住宅が倒壊しなければ、救えた命が多いという事実。
今後の対策について横山さんは…。
Be-Doの横山さん:
「金沢の近くで活断層(森本・富樫断層帯)というものがございますので、その活断層が活動することは十分考えられます。地震があった時に一番注意しなきゃいけないのが『耐震性』、古い耐震基準の建物でしたら自治体などの耐震診断・耐震改修の機会をうまく活用いただいて、地震のときに倒壊しない家にしてほしいと思います」