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地震と水害で茫然自失の被災者…多くのボランティアが鍵?「ただそばにいる安心感」が心の支えに

奥能登の人たちは元日の地震から復旧・復興へ向かう途上で、今回の記録的な豪雨に見舞われました。懸念されるのはその心理的な影響です。

稲垣アナウンサー:
輪島市河井町です。川の氾濫で運ばれてきた大量の土砂が、水が引いた後も道路を覆いつくしてしまっている状況です。

今回の豪雨災害で特に被害が大きかった輪島市中心部・河井町の河原田川沿い。重機が道路にたまった泥を撤去する中、住民たちは 濡れた畳を移動させるなど復旧作業を行っていました。ぬかるみを歩くこちらの親子に話を聞くと…

作業をしていた親子:
地震があって、今から頑張ってやろうと言っていた時にこんな状況になったので、だいぶ堪えてますね。全部昔に…正月に戻ったような感じで、大変…。もう何にも言う事はないですね。

地震と水害のダブルパンチ。今の被災地には心が折れかけている方が多くいます。精神行動医学の専門家である金沢大学の菊知充教授は今後の被災者の心の動きについてあることを危惧しています。

菊知教授:
『茫然自失期』が必ず最初にあるわけです。物を失ってしまって、最初にドーンと…。地震があったりとか、水害があったその日かその次の日ぐらいまでは、茫然自失期がやってくるんですけれども、その後の『ハネムーン期』がですね。災害が度重なった時にはハネムーン期がないという場合も報告されております。

こちらは被災者の一般的な心理変化を表すグラフです。被災当初は、ショックで茫然自失となる期間が数日あった後、被害の回復に向かい前向きになる「ハネムーン期」が訪れると言われています。しかし災害が相次いだ場合、このハネムーン期が訪れないことがあるというのです。

菊知教授:
だからもう意気消沈した状態で、その後の幻滅期、うつ状態に向かっていくということが、社会全体として起きることがあります。なので、ちょっとムードそのもの、街のムードそのものもすごく心配

これまでとは違う被災者の心境。支援する側にとって必要なことは…

菊知教授:
少なくともこの水害のあった前の状態までなるべく早く近づけるということ。その時に、たくさんの応援が入っているということをなるべく実感してもらえるのがいいかなと思います。(被災者には)もう周りの方から見放されているかもしれない。復旧を誰も手伝ってくれないかもしれない。そういう思いもあると思いますので、応援が来ているという安心感は前以上に必要になってくると思います。

菊知教授はもう一点、今回被災された方への声掛けについて「今はまだ『励ましの言葉』を伝える段階ではない」と話します。『何を言うか』ではなく、そばにいて相手が話しやすい雰囲気を作っていく」とことが重要だそうです。そして「応援が来ているという安心感」を感じられるよう、多くのボランティアの力が必要だと感じます。

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