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地震からの復興のさなか…奥能登豪雨で“輪島塗業界”にも大打撃 整備された仮設工房の約8割が浸水被害

奥能登豪雨は、伝統産業にも大きな被害をもたらしました。輪島市の基幹産業・輪島塗業界の現状です。

曲げ物職人 蔵田満さん:
水位がこの辺まで跡がついている。(土砂が)山の方から来たんや

こう話すのは蔵田満さん。輪島塗の工程の1つで 木を器などの形に加工する木地師です。地震で壊れて修理したばかりだった機械は家の中に流れ込んだ土砂の影響で再び使えなくなりました。

蔵田さん:
全部メンテナンスをして使っていたのにまた使えなくなるっていうのはガクっとくるどころじゃないよね

10月納品するはずだった木地も大半が使えなくなりました。さらに蔵田さんが不安に感じているのは木地師にとってなくてはならない山が今回の豪雨で壊滅的な被害を受けたことです。

蔵田さん:
山がひどく荒れて木が揺られて人間でいうぎっくり腰みたいな木に筋が入るんです。それを(加工しようと)曲げるとポキンポキンと折れちゃう。木を育てるのに50年100年ってかけてやったら木がまたこんなになったり…

それでも蔵田さんは残った木材の土砂を洗い流すなど再起に向けて歩みを進めています。

蔵田さん:
注文してくれる人が応援してくださるのでもうひと踏ん張りやってみようかなと命ある限り頑張ります

木地づくりに始まり塗り、沈金など様々な職人の分業によって作られる輪島塗。地震の復興支援で整備された仮設工房のおよそ8割が今回の豪雨で浸水するなど業界全体が大きな打撃を受けています。

桐本さん:
折れないタイプなんですけどね、心、折れますよね…

漆器工房・輪島キリモトの7代目・桐本泰一さんです。

工房周辺の広い範囲に泥水が流れ込み、あっという間に辺りが湖のようになってしまったといいます。水は工房の中にも入り込み出荷予定の商品が梱包された段ボール箱が、数多く水に浸かってしまいました。

浸水の爪痕が残る工房では職人たちが消毒作業に追われ本格的な生産再開へのめどは現在も立っていません。

桐本さん:
今回は本当におこがましいというか…もう一度少し背中を押していただく、応援していただかなくてはちょっと我々の足だけでは立てないかなと思います

地震からなんとか立ち上がろうとしているさなかでの豪雨災害。文化を支える職人たちへの支援が必要です。

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