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全国初!処方箋の完全電子化で医療はどう変わる?「メリットは患者の安全性向上」 石川・白山市
稲垣アナウンサー:
「ここからは白山石川医療企業団・副企業長で公立松任石川中央病院医師の横山邦彦さんに伺います。宜しくお願いします。
横山邦彦医師:
「お願いします。きょうは『全国初!処方箋の完全電子化』というテーマでお話します。当院では6月1日から、これまで患者さんに紙でお渡ししていた処方箋を、原則全て電子版の電子処方箋に切り替える取り組みを始めました。地域の調剤薬局をまるごと含めた電子処方箋一本化の取り組みは全国で初めてです。」
稲垣アナウンサー:
「非常に画期的な取り組みですが、どんな仕組みなのでしょうか?」
横山邦彦医師:
「これまでの紙の処方箋では、患者さんが現在または過去に服用したお薬の情報は、実際にお薬を処方した医療機関か調剤した薬局に問い合わせるか、あるいは、患者さんのお薬手帳がないと分かりませんでした。しかし、今後は国の『電子処方箋管理サービス』というサーバーシステムを介して、この電子処方箋に対応した医療機関・薬局では、患者さんが他の医療機関や薬局で処方・調剤された薬も含めて、それぞれの医療機関・薬局が迅速かつ正確にお薬の重複や飲み合わせを確認できるようになり、より安心安全な医療につなげることができます。」
稲垣アナウンサー:
「なるほど…これにより患者さんの負担は増えるのでしょうか?」
横山邦彦医師:
「いえ、患者さんがすることは今までどおりで、料金も変わりません。まず診察室で通常の診療が行われ、医師は処方する薬を電子カルテに記入します。終了ボタンを押すと、処方箋の内容が国のサーバーに送られ、一括管理されます。患者さんは、1階の電子処方箋コーナーで処方箋データの番号を記した『控え』を受け取り、これをかかりつけの薬局に提出するか、FAX等で薬局に送れば、処方箋データを国のサーバから引き出すことができます。調剤薬局ではそのデータを基に薬を調剤し、患者さんにお渡しできる仕組みです。」
稲垣アナウンサー:
「処方箋のデータが電子化されることのメリットは何でしょうか?」
横山邦彦医師:
「はい、一番のメリットは『患者さんの安全性の向上』です。『電子処方箋管理サービス』のサーバーには、いつ、どんなお薬を処方したかというデータが残ります。患者さんにお薬を処方する際、その患者さんが普段服用している薬と飲み合わせの悪い薬だった場合には、このように『警告画面』が出ます。同じお薬を重複して二重に処方することも避けることができます。こうして患者さんに、より安全安心で透明性の高い医療を提供できることが大きなメリットだと言えます。」
稲垣アナウンサー:
「このシステムは公立松任石川中央病院が全国に先駆けてという事ですが、その要因は何でしょうか?」
横山邦彦医師:
「こちらをご覧ください。電子処方箋を上手に活用するためには病院だけではダメで、処方箋を受け取る調剤薬局と一緒に、地域まるごと電子に対応する必要があります。白山市と野々市市の調剤薬局は合わせて90施設あるのですが、そのうち9割を超える84施設が電子処方箋に対応しています。去年から3回、地域の調剤薬局の皆さまにお集まり頂き、電子処方箋のメリットを説明し、理解をして頂いたのがとても大きいと思っています。ちなみに県内全体の調剤薬局で見ると、電子処方箋の普及率は69%強(2024年9月末時点)と、全国でトップとなっています。能登半島地震における被災者の方が、電子処方箋があったのでお薬を受け取ることができた事例を経験しました。今後、電子処方箋に対応する病院やクリニックが増えるといいなと思います。」
稲垣アナウンサー:
「様々な分野でのデジタル化が叫ばれていますが、こうした電子化は早く進めてほしいですね」
横山邦彦医師:
「当院でも電子処方箋についてご不明な点がある場合は質問コーナーを設けていますし、もし紙の処方箋をご希望の場合はお出ししていますので、詳しくは病院の窓口でお問い合わせください。」