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「それどころでないが自分達の一票を…」27日投票の衆院選 奥能登の有権者や自治体職員が抱く複雑な思い

27日に投票日を迎える衆議院選挙。地震や豪雨の爪痕が残る中、奥能登の有権者や自治体の職員は普段とは違う形で行われる選挙に複雑な思いを抱いています。

元日に発生した能登半島地震、先月の豪雨災害と被害の爪痕が残る中で迎える衆議院選挙。能登の有権者の思いは様々です。

町の人は:
「一票でも入れないと何にもならんし黙っていても何にもならんし。2年先のこと考えるとお先真っ暗」「早く復興に向けて話を進めてほしい、それだけ。政権とるためだけに(復興が)遅くなることだけは許せない」「(選挙に)いかない」「あてにならん、今の我々言っても届くはずがない」「奥能登の票数なんて無視される数しかないということ」

輪島市の有権者、川端俊樹さん。

川端さん:
「あーひどいな。つぶれてます」
Q実家はどこ?
「ここに建っていました」

輪島市町野町にある川端さんの実家は地震で全壊と判定され公費解体中です。

川端さん:
「今一番大切な自分の故郷。その場所がどうなるのか周り近所もいなくなってしまって家も立ち退きつぶすしてしまうと、ここは単なる原っぱ」

周辺の道路状況が悪く、豪雨の後、自宅には一度も行けていません。川端さんは今月11日、七尾市に二次避難しました。しかし、その避難先も来月末で出ていかなければならず、その後のことは決まっていません。この日、川端さんは避難先からおよそ60キロ離れた輪島市の仮設住宅に住む父親のもとに向かいました。川端さんは1人で買い物ができない父親に週に1回食料を届けに行っています。

川端さん:
「まだ地震のあとの大雨による被害があって、まだ避難所にいる人がいたりこんな状態の中で選挙ってなるとみなさん心の中ではそれどころではないという思いの方が強いのかなと思う。ただ、今後、能登の復興とかいろんなことを考えたときに選挙も自分たちの一票は入るので行かないといけないかなと」

復旧作業と並行しながら選挙の準備に追われているのが自治体の職員です。

「これ相当時間かかるな」「どうしよう」

輪島市ではこれまで使用していた投票所が被災するなどしたため投票所の数は2か所減り18か所に。そのため輪島市町野町では仮設住宅の集会所に市民なら誰でも投票ができる期日前投票所を設けました。

輪島市選挙管理委員会書記次長・加藤拓也さん:
「災害に関する業務と重なったりしているのでそういった面ではいつもとは違う選挙事務になる」

また今回急増したのが市外に避難している人たちによる不在者投票の申請です。不在者投票の手順は、まず有権者が輪島市の選挙管理委員会に請求書を送ります。これを受け職員は申請者が有権者であることを確認し投票用紙を申請者に郵送。申請者が避難先で投票した後、避難先から送られてきた投票用紙を輪島市の職員が投票箱に入れて完了です。

輪島市選挙管理委員会事務局書記長 坂本修さん
「煩雑な作業になるのでたくさん処理しないといけないが大事な選挙なので請求された方に速やかに送付できるように対応している」

今回の選挙で輪島市以外の場所で投票した人は去年行われた県議選と比べて10倍に増加。こうした中、輪島市は有権者に誤った政党名の一覧を郵送し対象者100人に改めて連絡する事態が発生しました。

この先の生活は見通しが立たない川端さん。そんな中、川端さんは期日前投票所で一票を投じました。

川端さん:
「今後の能登って考えたときに一生懸命やってくれるのはだれかなって。自分の将来が不安だらけなので(自分たちが)一生懸命しないといけないのはわかっているのでそれに対してのサポートがあるのかなって。そういう期待はしてしまった。自分のやらないといけないことはやったかな。それなりには満足、よかった」

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