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【能登人を訪ねて】♯49祖父の夢を孫が継ぐ…『子供の楽園』復興進める中“自然との向き合い方”に変化
能登町にある「子どもの人気スポット」を運営する2人を訪ねました。祖父の果てなき夢を受け継ぐ決意をした孫。彼が見すえる夢の先は…
稲垣真一アナウンサー:
「能登町斉和に来ています。ここに、ある能登人が人生をかけて築き上げてきた子供たちの夢の楽園があります。地震と豪雨で大きな被害を受けましたがその夢を受け継いでくれる後継者と共に乗り越えて行く事が出来ました。二人が考える未来図とは?」
能登町、珠洲道路沿いにあるケロンの小さな村。
稲垣アナ:
「あー、宜しくお願いします!」
古矢拓夢さん、上乗秀雄さん:
「宜しくお願いします」
ケロンの小さな村・村長の上乘秀雄さんと、上乗さんの孫で副村長の古矢拓夢さんです。ケロンの小さな村は、2009年にオープン。「自然の中で、子供たちにのびのびと遊んでほしい」と上乘さんが手作りした子供たちの楽園です。
自然の中で遊んだりピザ焼き体験をしたりと五感を使って楽しむことができる人気スポットでした。
しかし、能登半島地震でシンボルだった水車小屋は土台が崩れて傾き…ピザやパンを焼いていた上乘さん手作りの石窯も全壊しました。そんな絶望の中の希望の光が孫の拓夢さんでした。
ケロン村の後継者として名乗りを挙げた拓夢さんが上乘さんと二人三脚で修復作業を進めた結果、ケロン村は去年4月に営業を再開できたのです。
上乘さん:
「『僕、じいちゃんと一緒に 頑張って復興する』と言って飛び込みで来てくれたことは…僕にとっては白馬の天使みたいなものやったね。」
古矢さん:
「この一年間、色んな方に助けてもらいながらここまで来れたので、まずこの一年間を振り返って感謝しかないというか…色んな方への感謝でいっぱいですね。」
稲垣アナ:
「拓夢さんの役割としては…」
上乘さん:
「これからのことは拓夢に一任してやっていく。そんな気持ちでいます。」
稲垣アナ:
「託されましたね。」
拓夢さん:
「託されましたね…でも覚悟を持っていたので、お任せ下さいというか、何とかこの場所を良い場所にしていきたいという感じですね。」
そんな拓夢さんに、今のケロン村を案内してもらいました。
稲垣アナ:
「水のせせらぎの音がいいですね。」
拓夢さん:
「そうですね、ここも(去年9月の)豪雨の時に全部水がここからあふれて…あそこのトンネルのところにガレキとかが引っかかって、ここが川になっちゃった。」
稲垣アナ:
「いやー、そこからの復活ってすごいですね…」
拓夢さん:
「そうですね…」
稲垣アナ:
「あっ!(水車が)回ってるよ!」
拓夢さん:
「ようやく、何と きのう(4月3日)から 回り始めました。」
稲垣アナ:
「きのうからですか!」
拓夢さん:
「きのうからです。」
稲垣アナ:
「この水車小屋は傾いてて、全然もう話にならなかったじゃないですか。」
拓夢さん:
「そうですね、色んな大学生の方やボランティアの方にお手伝いをしてもらって完成したものなので…」
稲垣アナ:
「動いた瞬間はどんな気持ちでしたか?」
拓夢さん:
「おじいちゃんと ハイタッチしました!うれしすぎて…二人で写真撮りました、この前で。」
「そしてここが森の入口です。本当はここは道じゃなかったんです、崖だったんですよ。土砂崩れの影響で道の3分の3ぐらいが土砂で埋まってしまって…これを見て頂ければと思うんですけど、人の力だけで道を作りました。」
稲垣アナ:
「この木のことを言っているんですね?」
拓夢さん:
「はい、ボランティアで来てくださった長野県からの10人ぐらいの男性と僕らで、1個1個この丸太を 井げた上に組み上げてこの道になっているんです。」
稲垣アナ:
「すごい!」
拓夢さん:
「これ、重機ゼロです。本当に人力だけで作りました。」
稲垣:
「僕たちが今立っている道は元々は何にもなかったところで、丸太と土で道を自分たちで作っちゃったと…」
拓夢さん:
「そうです。コンクリートとかではなくて、できるだけ森のもので道づくりであったり森づくりをやっていこうという、震災後のケロンとしての自然との向き合い方が 変わったきっかけになった場所になりますね。」
この日は、ボランティアの力を借りながら遊具の設置作業などが行われていました。少しずつ進む今年のオープン準備。上乘さんも嬉しそうです。
ボランティア:
「ケロン村の助けにもなりますし、逆に私たちが元気になるというか普段できない体験ができるというのは本当に有難い事だなと思って、またぜひ来たいと思いました。」
稲垣アナ:
「ここまで支えてもらった 皆さんについてはどのように 思っていますか?」
拓夢さん:
「おじいちゃんが、『僕がいなかったら(復旧)できなかった』と言っていたのと同じで、僕も多分、二人だけだったらここまでのことはできなかったと思うので、来て頂いた方には本当に感謝しかないですね。」
稲垣アナ:
「ゴールデンウイークになってくると、また色んな人が楽しみに来てくれるわけじゃないですか。」
拓夢さん:
「ケロンの良さは、だいたい1カ月ぐらい空いたら新しいものができてたりとか、見たことがないものが増えているのが一番面白いところですし、お客さんが楽しいと思ってくれている一つの要因だと思うので、そういった場所に、さらにお客さんに「何だこれ!」と言ってもらえるようになるものを作っていきたいなと思いますね。」
そんな拓夢さんを見守る上乘さんは…
稲垣アナ:
「ケロン村がまたこのような形で人を迎えられる形になったという事についてはいかがですか?」
上乘さん:
「感慨深いところがありますね…」
稲垣アナ:
「お孫さんには、どんなケロン村にしてほしいと思っていますか?」
上乘さん:
「彼が思うように、ここを舞台にして自分の人生を歩んでほしいと思います。」
稲垣アナ:
「一歩一歩自分の道を歩み始めようとしているお孫さんを見て、どのようなお気持ちですか?」
上乘さん:
「期待半分、心配半分!」
稲垣アナ:
「ケロン村の入口に、復興誓いの木、『夢桜』という木が植えられていますが…」
上乘さん:
「去年のちょうど今頃に植えて、立派に咲く頃にはケロン村も再開できるようにほしいという願いを込めて、『夢桜』という桜の木を二人で植えたんです。」
稲垣:
「夢もあふれているし、拓夢さんの『夢』という名前も入っているんですね。」
拓夢さん:
「そうですね。それもあっての夢桜なので、ちょっと弟分みたいな感じで勝手に親近感がわいています。」
稲垣アナ:
「一年経って水車も回り、今年の営業もいよいよ開始と
いうことになりましたね。」
上乘さん:
「頑張ります、な!」
拓夢さん:
「そうやね、頑張ります。」
稲垣さん:
「これからのケロン村の未来像は?」
拓夢さん:
「子供の笑顔だけじゃなくて、大人の笑顔であったり来て下さる方の話し声や笑顔、そしてこの自然の風景が一緒になって混ざりあうような場所を作っていきたいなと思っています。」
上乘さん:
「拓夢の好きなように頑張ってやろう!」
拓夢さん:
「手助けをして頂いて…」
稲垣アナ:
「新しいパターン…本当は僕も握手をしたかったんですが…いいですか、では一緒に。」